AC-DC、DC-DCスイッチング電源メーカーのイーター電機工業、セミカスタム、カスタム対応の実績豊富

サポートHOME > サポート > 技術資料 > スイッチング電源の寿命について
スイッチング電源の寿命について
スイッチング電源の寿命は、スイッチング電源に実装している次の有寿命部品の寿命で規定されます。
・アルミ電解コンデンサ
・ファン

アルミ電解コンデンサ及びファンの寿命の最短時間 = スイッチング電源の寿命

上記の式は一般的で過去のメンテナンス品などの事例からも裏付けられています。
ここでは、上記の内、アルミ電解コンデンサの寿命について、解説します

1. アルミ電解コンデンサの寿命
アルミ電解コンデンサは陽極箔、電解紙、陰極箔、引き出し電極(リード線、アルミリードなど)で構成された 素子(図1)に電解液を含浸させ、アルミケース、封口材(スリーブ、封口ゴムなど)で封止されています。(図2)

寿命は一般的に電解液が封口部から外部に蒸散することにより、性能劣化(静電容量の減少、損失角の正接の 増大、漏れ電流の増加)となって現れます。 
そして、最終的にその性能(静電容量、損失角の正接、漏れ電流)が規格値(仕様値)から外れた段階で摩耗 故障(寿命)に至ったとなります。
アルミ電解コンデンサの寿命は使用条件により大きな影響を受けます。温度、湿度、気圧、振動などの影響を 受けますが、特に周囲温度の影響が大きく、周囲温度と寿命の関係は10℃2倍則に近似となり、一般的な寿命 算出式は次の様になります。
周囲温度が10℃下がると寿命は2倍に延び、10℃上がると寿命は1/2になります。 例)規定寿命:5,000時間 カテゴリ上限温度(最高周囲温度):105℃ 実使用時の周囲温度:65℃
次に、周囲温度と推定寿命を表に表します。
表1  周囲温度と推定寿命
周囲
温度
[℃]
規 定 寿 命
105℃ 2,000時間
105℃3,000時間
105℃5,000時間
時間
年数
時間
年数
時間
年数
95
4,000
0.46
6,000
0.68
10,000
1.14
90
5,657
0.65
8,485
0.97
14,142
1.61
85
8,000
0.91
12,000
1.37
20,000
2.28
80
11,314
1.29
16,971
1.94
28,284
3.23
75
16,000
1.83
24,000
2.74
40,000
4.57
70
22,627
2.58
33,941
3.87
56,569
6.46
65
32,000
3.65
48,000
5.48
80,000
9.13
60
45,255
5.17
67,882
7.75
113,137
12.92
55
64,000
7.31
96,000
10.96
160,000
18.26
50
90,510
10.33
135,765
15.50
226,274
25.83
45
128,000
14.61
192,000
21.92
320,000
36.53
40
181,019
20.66
271,529
31.00
452,548
51.66
35
256,000
29.22
384,000
43.84
640,000
73.06
30
362,039
41.33
543,058
61.99
905,097
103.32
※ 寿命の上限は、封口ゴムの寿命である131,400時間(約15年)になります。
    また、上記寿命は、24時間連絡稼働した場合です。
2. 機器組み込み時のスイッチング電源の寿命
最近、機器の小型化が進み、機器に組み込まれているスイッチング電源の設置環境も厳しいケースが増えています。
そこで、機器の信頼性を維持するには、機器内部の発熱状況を把握し、スイッチング電源の寿命も確認しておく必要があります。
冒頭に記載の様に、スイッチング電源の寿命はアルミ電解コンデンサとファンの寿命の最短時間になります。
そのスイッチング電源の寿命のファクターのひとつであるアルミ電解コンデンサの寿命推定方法について、解説します。
まず、アルミ電解コンデンサの周囲温度を測定する必要がありますので、スイッチング電源のすべてのアルミ電解コンデンサに熱電対を接続してください。
それから、機器の周囲温度を測定できる箇所(機器が設置されている空間など)に熱電対を接続してください。
尚、熱電対ではなく、非接触センサー(サーモビューワなど)でも可能です。
そして、機器を通常動作時の最悪条件(定格入力電圧、最大出力など)に設定し、測定温度が安定するまで動作さ せてください。(2時間程度)
その時のアルミ電解コンデンサ及び機器の周囲温度を記録し、その記録した温度を基に、個々のアルミ電解コンデ ンサの寿命を算出します。
ここでは、機器の最高周囲温度を確認し、その最高周囲温度時の寿命を算出します。

例)規定寿命:5,000時間
   カテゴリ上限温度(最高周囲温度):105℃
   測定したアルミ電解コンデンサの周囲温度:73℃
   測定した機器の周囲温度:28℃
   機器の最高周囲温度:40℃
まず、測定したアルミ電解コンデンサの周囲温度と測定した機器の周囲温度から温度差を計算します。
(測定したアルミ電解コンデンサの周囲温度)-(測定した機器の周囲温度)=73℃-28℃
=45℃
この温度差から機器の最高周囲温度時のアルミ電解コンデンサの周囲温度を計算します。
(機器の最高周囲温度)+(温度差)=40℃+45℃
=85℃
この機器の最高周囲温度時のアルミ電解コンデンサの周囲温度85℃より寿命を計算します。
上例では、機器の最高周囲温度40℃時、24時間連続稼働にて、約2.3年の寿命になります。